「散歩道<1252>

              デイベート経済・「脱デフレ」と残る課題(2)・日銀の金融政策が重要に             (1)〜(3)続く

 しかし、日本銀行の金融緩和政策を重視する意見は根強い。一旦デフレになると、それを金融政策の力で終らせることは至難の業だ、デフレになる前なら有効だ。これは経済学者のコンセンサスだろう。ITバブルが崩壊した後の01年に、アメリカの連邦準備制度は、矢継ぎ早に金利を引き下げ、経済がデフレに陥るのを防止した。これは、90年代前半日銀を、反面教師として学んだ成果だった。デフレになる前にあるいは、デフレから脱却した後に行なうべき金融政策として、インフレ・ターゲット政策が経済学者の支持を受けている。インフレ・ターゲット政策とは、日銀が実現したい目標インフレ率(インフレ・ターゲット)を設定し、それを実演するよう金利の調整などを行なうことである。数年前までは、デフレから脱却するためにインフレ・ターゲットを設定すべきだ、という議論が多かった。これは、デフレが不況の原因だという見方にたち、景気を回復させるためには、日銀が極端な政策を行なって、デフレをまず終らせなければならない、とする意見だった。しかし、デフレより先に景気が回復したことで、こうした主張は尻すぼみになったようだ。むしろ、今後の論点は、デフレ脱却後のインフレ・ターゲット導入の是非だ。平時の経済では、理論的には、裁量的な金融政策よりも、明確なルール(インフレ・ターゲットなど)に従う金融政策の方が望ましい。また、インフレ・ターゲットを導入した国は、少なくとも今までのところ経済状況が比較的よい。経済そのため、インフレ・ターゲットは経済学者に人気が高い。90年代のアメリカで好況を支えたのは、緊縮型の財政政策と緩和型の金融政策の組み合わせだった、とも言われている。デフレ後も、日銀は金融緩和の基調を続けざるを得ないかもしれない。

'06.9.25.朝日新聞・小林慶一郎

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