散歩道<1212>

                   経済気象台(58)・中国家電業界の国内回帰

 低価格を武器に、世界の家電市場で急速に存在感を増してきた中国の家電メーカーが、元高、労働賃金の上昇、欧州連合
(EU)での環境規制の強化などによる輸出環境の悪化から、構造改革の波にさらされている。人民元は、昨年7月の一律2%の切り上げ以降もじりじりと上昇を続け、最近では1ドル=8元を切る水準にある。拡大を続ける貿易黒字に対する米国からの圧力もあり、一段の切り上げは不可避と見られている。先進国の10分の1以下と言われてきた労働コストも、沿海部を中心に年率2けたのペースで上昇している。広東省ではこの3年間で法定最低賃金が50〜60%も上昇し、製造コストを大幅に引き上げている。さらにEUにおけるWEEE(廃電気・電子機械リサイクル)指令やRoHS(特定有害物質使用制限)指令など環境規制の本格化も、元来の低収益性ゆえに、リサイクルコストや代替部材調達コスト等を価格転嫁せざるを得ない中国メーカーにとって、競争力低下の要因となっている。輸出環境の悪化に伴い、中国家電各社は国内回帰の動きを加速し、中国国内市場での競争が一層激化している。規模のメリットを追求して大手メーカーへの集約や中小メーカーの再編・淘汰(とうた)が始まっている。こうした中国メーカーの動きに対し、日本メーカーは、低価格競争に巻き込まれないため、得意とする環境対応技術を活用した高付加価値品の投入など、中国勢と一線を画する戦略を強めている。一方で、規模の拡大を目指し、合併・買収(M&A)などで中国企業の再編に参戦する動きも出ている。13億の人口を抱える世界最大の潜在的家電市場をめぐっては、中国勢、日本勢に韓国勢も加わり、激しい競争を繰り広げてきた。中国勢の国内回帰は、日韓メーカーにも大きな影響を与えそうだ。

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