散歩道<1181>
世界の窓・幕末の志士から何を学ぶか(2) (1)〜(3)続く
しかし、彼らの凄さは日本が「鎖国の平和」をむさぼっていた時代に、いち早く新しい変化の兆候を嗅ぎ取り、それがとてつもなく重大なことだと受けとめたことにある。藩という狭い世界を打ち破り、世界を視野に入れて日本の行く道を示したことにある。そのために勇気と知恵をもって「西欧列強の侵略」をかわし、旧体制を打破して新体制を打ち立てることに全身を投じたことにある。いま、その精神と姿勢を学ぶことなく、幕末の志士を仰ぎ奉るのは「虎の威を借る狐(きつね)」にも等しい。では新しい時代の始動とは何であろうか。それは協力や相互依存が深化し、やがてうねりとなっていくであろうアジアの連帯・統合への始動である。05年の国内総生産をみても日本、中国、韓国と香港、台湾だけで8兆jを超え、これに東南アジア諸国連合を加えるとほぼ9兆jになる。域内の貿易・投資・技術移転なども急速に増大している。これは欧州連合の13兆j強、米国の12兆jに次ぐもので、穏やかながら、すでに世界第3の経済圏が生まれつつある。
'068.23.朝日新聞・早稲田大学教授・天児 慧氏
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