散歩道<1015>
時流自論・アジア共通の経済指標を(2) (1)〜(3)続きます。
一方、東南アジア諸国連合プラス日本・中国・韓国(ASEANプラス3)に香港、台湾を加えたアジアの域内貿易比率は約53%に達し、北米自由貿易協定(NAFTA
)の44%を大きく上回っている。これに対米貿易を加えると、地域統合が進んだ欧州連合(EU)にも比肩する経済圏が出来ている。わが国では「中国は脅威か否か」といった2国間の視点でアジアの関係が語られがちだ。だが、こうした局面でアジアの各国が相互理解を深めようと思えば、2国間の政治論議でなく、利害が密接に絡み合ったアジア域内の貿易や、国境を越えた投資活動を横断的に分析する統計・分析機関こそ必要ではないか。EUには、加盟国の統計情報を包括的に扱うEU統計局(ユーロスタット)が機能している。加盟国を対象としたユーロ指標によってでなく、品目別のデータを月単位や週単位で把握し、分析データ−も公開している。データの分析結果は、いまや、EU各国の政策立案や国家間の利害調整には欠かせないツールになっている。アジアにも、各国の統計を横断的に分析する機関があれば共通の土俵で議論が出来るので相互理解は格段に進み、問題を早期に発掘することにも役立つだろう。各国の政府だけでなく、アジア全域で活動する企業にとって欠かせないデータを提供できることになるので、市場の自由化一層拡大する。同時に、アジアに共通する問題を浮かび上がらせ、利害の衝突を防止する上で役立つだろう。
'06.5.8.朝日新聞・京都大学工学研究科特命教授・竹内佐和子さん
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